大学教授いわく

東京工業大学の生協団体(サークル?)が作成している、研究室紹介冊子「LANDFALL」を見て気になったことをメモ。

研究室紹介冊子LANDFALL Homepage
http://www.titech-coop.or.jp/landfall/

vo.28 研究室訪問
http://titech-coop.or.jp/landfall/pdf/28/28-4hosoyaisiharaken.pdf
最後に、石原先生に東工大の印象を聞いてみた。
石原先生は、昨年京大からここへ移ってこられたばかりである。京大の学生と比べて、東工大の学生はどのように違うのだろう。先生は開口一番、次のように言われる。


「なんか…ものすごくマジメだという感じがするなあ。マジメすぎておもしろくないですね。たとえば、京大なんか一年生のときは演習がないんですよ。だから本当に勉強したい学生は授業だけじゃ物足りなくて自主的にゼミを開いたりする。でも、結局は研究は自分でやるものですから、そういうのは非常に身になるんです。それにひきかえ東工大は演習がいっぱいあるし、学習効率は高くていいけど逆になんでも用意されすぎて過保護ともいえますね。確かに平均的に優秀ではあるんですけど、自分からなにかするっていう能力をもうすこし身につけてほしいと思います。」

vol.35 特別企画
http://titech-coop.or.jp/landfall/pdf/35/35-6isosakaikenafter.pdf
当時と比べて、今の東工大生はどうですか?



12年前と比べて現在の東工大生は、基本的にはそれほど変わっていないと言えると思います。しかし、講義や大学院での研究を大学院生の人たちと付き合ったりして、感じることが少しあります。一人一人の個性の差のほうが大きいので、一概に言うことはできませんが、一般的に言うと何でも教えてくれるのが当然で指示されたことだけやっていればよい、というような傾向を持つ人が増えてきた気がします。大学というのは教育はするのですが、それは自発的にものごとを考えたり、自分で創造したりする力を身につけることを目標としているのだと思うのです。研究者を目指す人はその道で創造的でなければなりませんし、企業へ行く人も、そこで指示されたことだけやっていればよいというものではないでしょう。もちろん、多数の人によくわからないような内容や授業の態度は論外です。したがって、多くの学生の身につかないほど高度過ぎる講義や説明に筋が通っていないわからない授業など、不満な点には声を挙げるのがよいと思います。これから大学はできるだけそうした声に耳を傾ける方向に進んでいくことでしょう。


しかし、その一方で、自分で学びたいものを自発的に学ぶという姿勢は大事にしたいものです。もしかしたら、学ぶ内容は授業で提供されるものではなく、人生に対する態度や人間関係を悩んだり、学んだりするというような場合もあるかもしれません。それも長い人生の中では、ぜひ必要なことでしょう。したがって、授業に出てそれをきちんとものにすることだけが大事なこととは思いません。与えられた時間と機会とをできるだけ生かしてくれることを願うだけです。