日本生命

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アクチュアリーは、会社の健全性を保ち保険金等の支払能力を確保できるよう、確率・統計などの手法を用いて業務を行う数理の専門職である。このアクチュアリーの多くが在籍しているのが決算をつかさどる主計部だ。そのなかで細川の所属する保険統計グループは3つのミッションを担っている。

  • 1つ目は保険業績(新契約や保有契約についての件数や保障額などの状況)を正確に把握し、金融庁への報告や社外向けディスクローズ(開示)を実施すること。
  • 2つ目は死亡や入院給付等の発生率や他社業績等について様々な観点から分析を行い、商品開発や販売戦略などの経営判断に役立つ情報を発信すること。
  • 3つ目は再保険について、収支状況の分析を行い、会社の収益力向上に貢献することである。

保険業績は経営陣が経営戦略を立てるうえで欠かせない情報であるうえ、お客様や加入を検討されている方々からも保険会社に対する社会的評価の目安として注目されているため、保険統計グループの責任は非常に大きいといえる。



アクチュアリー採用で日本生命に入社した細川は、商品開発部に4年在籍した後、2010年4月から保険統計グループで保険業績のディスクローズや分析結果の役員報告などに携わっている。一般的な事業会社では、比較的短期間で仕入れから売り上げのサイクルが完結するため、損益の測定は容易にできる。ところが保険は複雑だ。保険は一定の偶発事故を保障しているため、損益はある契約群団が消滅する(契約の保有がなくなる)まで確定しない一方で、保険期間は数十年に及ぶため、損益の測定は様々な数値を推定に基づき算出しなければならないためだ。そのため保険会社では2つの軸でディスクローズを実施している。一つは単年度収支、もう一つは保険成績、つまりどれくらい保険が販売されて、累計の保障額がいくらあるかを開示しているのである。システム化が進んでも、1千万件超の保有契約の中にはシステムでは取り込めないケースが多々あり、それらを1件1件判断して業績に反映させなければならない。また、数値を把握するだけでなく、日本生命の動向や他社動向、お客様のニーズや社会動向の変化を感じとり、営業職員・代理店・金融機関代理店といった様々なチャネルにわたる保険業績を色々な観点から分析することが求められる。一方で、金融庁への提出やディスクローズは予め期限が決まっており、限られた時間の中で分かりやすい資料を作成しなければならない。細川が保険統計グループで初めての決算を迎えたときは、保険成績が確定してから経営層報告、金融庁報告、ディスクローズまで約3週間しか時間がなかった。保険商品には明るいものの、自社や他社の保険成績を扱った経験はない。「難易度の高い仕事をこんな短期間で終えられるのか?」。大きな不安に包まれながら、上司や部下、関係所管の指導や協力を得て、なんとか期限に間に合わすことができたときは、自分の仕事がいかに周りに支えられているかを痛感した。
アクチュアリーは数字から何を読み取るかが問われる仕事です。どのように説明すれば一番わかりやすいか、ストーリーとしてはずしていないかを懸命に考えてシナリオを練る。その意味で、一番問われるのは分析力かもしれません。精度の高い分析と納期厳守という相反する課題を背負いつつ、より良いものを目指して切磋琢磨することで自己成長することができる。そこがこの仕事の最大の魅力だと思います」。そう語る細川の夢は新興国の社会インフラ整備にアクチュアリーとして貢献すること。世界有数の規模を誇る日本生命なら、その夢が叶う日もそう遠くはないはずだ。




アクチュアリーは“数理業務の専門職”で「確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を推定する必要がある」ことから、高度な数学知識が必要だと思われがちです。ですが、必要な知識は業務を通じて身に付くものですし、実際日本生命では数学科卒でもサークル活動や部活に精を出していた職員や数学科以外の理系や文系卒の職員も多々おりますので、興味を抱かれた方は、是非チャレンジしてください。
大学時代の専門知識は問わない一方で、業務上求められるのは、不確定な事象を推定する際の自由な発想ではないかと思います。なぜなら、不確実な事象の推定に絶対はありません。よって、現時点で当然とみなされていることに関して自分なりの分析を行い新たな結論を導きだすこと、すなわち「変革に挑戦すること」が求められるからです。もちろん、何かを変えるためには、相当な努力・知識・データが必要です。そのためには、自己研鑽や他のアクチュアリーとの意見交換も欠かせませんが、"自分の判断に基づいて変革に挑戦する人"と一緒により良い仕事をしていきたいですね。